性的少数者の差別解消に向けた早期の法整備を求める会長声明

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2021年12月23日

性的少数者の差別解消に向けた早期の法整備を求める会長声明

 

1 現在の日本の社会は、性的少数者が自らの性的指向(どのような性別を好きになるか)や性自認(自分の性をどのように認識しているか)を何の躊躇もなく公表できる社会ではありません。
 ありのままの自分で生きることができないということは、矛盾や葛藤を抱えながら生きることを意味しており、生涯においてその人に多大な苦痛を与えることになります。
 「すべて国民は、個人として尊重される」(憲法13条前段)という社会を実現するには、社会の側が、性的少数者の持つ苦痛を理解し、その解消に向けた方策を採っていく必要があります。

2 多くの国では、性的少数者の人権擁護に動き出しています。性的少数者の差別を禁止し、同性婚を正式に承認するなど、法整備を進めています。欧州を中心とした各国においては、性的指向及び性自認を理由とした差別を禁止する旨の規定が置かれた各種法律が制定されています。
 日本においても、地方自治体レベルでは、性的少数者に対する差別的取扱いの禁止等を規定する条例が施行されています。三重県でも、2021年4月、「性の多様性を認め合い、誰もが安心して暮らせる三重県づくり条例」が施行されました。同条例は、都道府県条例としては初めて、性的指向や性自認を本人の同意なく暴露する、いわゆる「アウティング」を禁止した条例として、注目されました。

3 しかしながら、日本では、性的少数者保護に関する基本的な法律すら、いまだに制定されていません。
 OECD(経済協力開発機構)の調査によれば、性的少数者の法整備状況について、日本は加盟国35か国中34位と、世界に後れを取っています。主要先進7か国の中で、法制度として同性婚もそれに準ずるパートナーシップ関係も認められないのは、もはや日本のみです。
 また、超党派で「性的指向および性同一性に関する国民の理解増進に関する法律案」(いわゆる「LGBT理解増進法案」)をまとめようとする動きがありましたが、前回の通常国会(第204回通常国会)への提出すら実現されませんでした。一部の国会議員からは、性的少数者の尊厳を損なうような、無理解極まる発言がなされたこともありました。

4 性的少数者の人権擁護は、当事者のみの問題に留まるものではありません。誰もが個人として尊重され、安心して暮らせる社会を実現するためには、自らとは異なる生き方・価値観が尊重され、性の多様性を互いに認め合う社会をつくることが必要です。
 当会は、誰もが安心して暮らせる社会の実現に向け、国に対し、性的少数者の差別解消に向けた早期の法整備を求めます。

 

   2021年(令和3年)12月23日

 

                       三重弁護士会

                        会長 山 本 伊 仁