三重弁護士会 > 総会決議・会長声明
2020年06月17日
新型コロナウイルス感染症に関する会長声明
1 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、世界各地で猛威を振るっており、我が国においても感染が拡大しました。三重県内においても、現在までの感染者数は一定程度に収まっていますが、依然、予断を許さない状況です。
そのような中、医療関係従事者や生活必須職従事者の方々は、職務上の使命に依拠し、ウイルスという目に見えない敵に身をさらしながら、私たちの生命や生活を守ることに心血を注いでおられます。
2 ところが、これらの従事者やその家族に対し、「ばい菌」扱いをしたり、幼稚園・保育園への入園・通園拒否をしたり、職場へ抗議の電話をするなどの差別的言動がなされているとの報道に接することがあります。こうした言動は、ときに名誉を棄損し、業務を妨害する犯罪行為として処罰の対象にもなり得るものであり、きわめて重大な権利侵害を招きます。さらには、日々従事する方々の気力を奪った結果、退職や休職に伴う人員不足を招き、医療や日常サービスの低下を招く危険性すらあります。このような言動は決して許されるものではなく、当会としても、このような言動を決して看過することはできず、厳に慎むよう求めるものです。
3 また、感染者及びその家族に対する誹謗中傷といった行為も現に慎まなければなりません。
三重県内でも、感染者の家に石が投げ込まれてガラスが割られたり、壁に落書きをされたりするなどの被害が発生しました。三重県内の感染事案に関するインターネット上での誹謗中傷も数多く報告されています。
4 さらに、感染の疑いのある人が差別等を受けることを危惧して申告せず、感染者の治療が遅れたり、感染ルートが解明できなくなるなど、さらなる被害拡大、感染拡大を招くこととなり、絶対に許されることではありません。
5 いつ、誰が、新型コロナウイルス感染症の被害者になるか、分からない状況です。自分がされたくない言動、県民を分断するような言動は、厳に慎むべきであり、当会としても感染者やその家族に対する誹謗中傷といった言動を決して看過することはできず、厳に慎むよう求めるものです。
6 当会も、新型コロナウイルス感染症に起因する違法・不当な差別的言動をはじめとする様々な法律問題を抱えておられる方々を支援するため、法律相談などの法的支援を通じて、全力を尽くして参る所存です。
令和2年(2020年)6月16日
三重弁護士会
会長 中 西 正 洋