改正組織的犯罪処罰法成立に反対する会長声明

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2017年08月23日

改正組織的犯罪処罰法成立に反対する会長声明

 

 本年6月15日、「テロ等組織犯罪準備罪」を創設する組織犯罪処罰法(以下、「本法」という。)が、参議院本会議における参議院法務委員会の中間報告を経たうえで、法務委員会における採決を省略して本会議採決に進むという史上類を見ないような過程を経て成立し、同年7月11日から施行されて現在に至っている。

 当会は、平成29年6月13日に本法に反対する会長声明を発出し、一般の団体が「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」として処罰されるおそれがあることや、国連越境組織犯罪防止条約と本法の対象犯罪との関連性に矛盾があること等を指摘していたが、参議院法務委員会において上記のような強行採決で法案が成立したために、上記の点に関する問題点は全く解消されなかった。

 このことは、参議院での本法に対する審議時間がわずか20時間程度であったことや、最終的に議論を打ち切るという中間報告といった手段が用いられたことからも明らかである。

 特に今回行われた中間報告については、法文上では「特に必要があるとき」(国会法56条の3第1項)に中間報告が認められ、その中間報告を求めた案件について、「議院が特に緊急を要すると認めたとき」(同2項)に、委員会の審査に期限を附すことができるとされていた。

 しかし、本件においては、中間報告を求める「必要」も、審査に期限を附す「緊急性」も存在しなかった。このような方法が採用されたのは、おそらく衆議院本会議における法務大臣の説明が二転三転し、法案に関する矛盾や危険性に関する指摘を受けること自体を与党側が恐れたためと考えられるが、このような目的で中間報告という手段を用いること自体が違法な運用であったことは明らかである。

 そのため、本法は、法案の中身だけではなく、その手続過程にておいも、重大な瑕疵をはらんでいるのである。

 したがって、当会としては、本法の成立に対し厳重に抗議すると共に、引き続き、本法の廃止を求めるべき取組みをしていく所存である。

 平成29(2017)年8月22日

 

三重弁護士会           

会長 飯 田   聡