大飯原子力発電所の再稼働に反対する会長声明

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2012年06月28日

大飯原子力発電所の再稼働に反対する会長声明

 2012年(平成24年)6月16日、政府は関西電力の大飯原子力発電所(以下、原子力発電所を「原発」という)3号機及び4号機を再稼働させることを決定し、現在、再稼働に向けた準備が進められている。

 政府は、再稼働の理由に電力不足等をあげるが、大飯原発の稼働期間は夏の間に限定されているわけではない。そもそも、国民の安全こそ、何より重視されなければならないのであり、政府による再稼働の理由は不合理である。大飯原発については、福島第一原発事故の原因解明及び当該事故原因に基づいた安全対策がなされているとは認められない状況にあり、再稼働について国民の理解も得られているとはいえない。したがって、現時点における大飯原発再稼働は容認できるものではない。

 2011年3月11日に発生した東日本大震災に起因する福島第一原発事故により、大量の放射性物質が放出され、広範囲の地域が放射能に汚染された。福島第一原発事故により指定区域外へ避難した人の数は11万3000人に上ると報告されている。

 現在に至っても、福島第一原発事故は収束しておらず、放射性物質の放出は続いている。このように、福島第一原発事故は多くの人々からそれまでの生活を奪い、今なお、多くの人々を過酷な状況においている。

 この福島第一原発事故については、現在においても、東京電力自身によるものを除き、どの事故調査委員会も最終報告を行っておらず、事故の原因は解明されていない。したがって、事故の原因を踏まえた安全対策も確立されていない。

 政府は、4月6日に、首相を含む原子力発電所に関する四大臣会合において原発の再稼働を認める際の新しい暫定的な安全性の基準を決定したが、この基準は対症療法的な津波対策・電源対策を講じただけの基準である。

 大飯原発のある若狭湾地域には多くの活断層が存在するところ、そもそも地震による原発への影響が十分検討されているとは言い難いことに加え、免震棟の建設もフィルター付きベントの設置もなされていないなど、事故に備えた対応策も不十分である。

 福島第一原発による被害の収束や回復の見通しも立たないなか、事故調査委員会の最終報告書も出されていない現状において、大飯原発の再稼働を決定することは、国民の生命、健康、生活を軽視するものであり、人権侵害が発生するおそれを否定できない。

 今年の3月から毎週金曜日に首相官邸前で行われている原発反対デモへの参加者は回を重ねるごとに増加し、6月22日のデモの参加者は主催者発表で4万5000人とされている。このことからもわかるように、原発再稼働について、国民の理解が得られているとはいえない。  福島第一原発事故への対応、原発再稼働については、日本国内はもちろん、世界が注目しているところである。

 よって、当会は原発の稼働について、福島第一原発事故の原因解明もなされておらず、国民の理解も得られていない現時点における原発の再稼働に強く反対し、政府に対し、大飯原発3号機及び4号機を再稼働させるとの決定を撤回することを求める。


2012年6月28日
三重弁護士会
会長 村瀬 勝彦