三重弁護士会 > 総会決議・会長声明
2010年12月21日
司法修習生の給費制廃止及び貸与制施行を延期する
「裁判所法の一部を改正する法律」成立についての会長声明
本年11月26日、司法修習生に対する貸与制の施行を延期する「裁判所法の一部を改正する法律」が国会で可決され、成立しました。この結果、新第64期司法修習生は、従前の制度と同様、修習費用の給費が実施されることになりました。
当会では、これまで、会員一人一人が署名活動や議員要請活動を積極的に行うなど、司法修習生に対し給与その他の修習費用を支給する制度(給費制)が維持・存続されるよう求め、運動を続けてきたところです。今回の法改正は、完全な給費制の復活とはならなかったものの、これまでの当会の運動方針に沿うものです。
当会の運動方針をご理解いただき、署名等にご協力いただきました市民の皆様、各種行事を共に戦ってくださった市民団体の皆様、報道等にご協力いただきましたマスコミの皆様、問題の本質をご理解いただき、裁判所法の改正にご尽力いただいた各政党及び国会議員の皆様、その他関係の皆様に心より感謝申し上げます。
もっとも、これで問題が解決したわけではありません。今回の法改正は、今後一年間、給費制を延長するものですが、衆議院法務委員会は、平成23年10月31日までの間に、政府と最高裁判所に対し、①「個々の司法修習修了者の経済的な状況等を勘案した措置の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること」、②「法曹の養成に関する制度の在り方全体について速やかに検討を加え、その結果に基づいて順次必要な措置を講ずること」という附帯決議を行いました。これらの検討事項は重要な事柄ですが、その検討結果いかんにかかわらず、給費制が維持・存続されるべきです。
すなわち、法曹(裁判官、検察官及び弁護士)は、国が市民のため、予算を支出しても養成すべき社会資源です。したがって、国が司法修習生に対する給費を放棄し、法曹を志望する者が経済的状況等によりその志を断念せざるを得なくなるような制度は、もはや市民のための法曹養成制度とは言えません。
当会は、司法修習生が精神的にも経済的にも安定し、充実した司法修習に専念でき、その結果として、市民のための法曹としてスタートを切ることができるよう、今後とも給費制の維持・存続を求めていく所存です。
2010年12月21日
三重弁護士会
会長 出口 崇