全面的国選付添人制度の実現を求める会長声明

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2010年05月14日

全面的国選付添人制度の実現を求める会長声明

 弁護士は、捜査及び刑事裁判においては「弁護人」として、被疑者・被告人の、少年審判手続においては「付添人」として、少年の、権利の擁護や支援を行っています。
 とりわけ、身体拘束を受けた被疑者・被告人及び少年に対する法的援助の必要性は極めて高く、「弁護人」、「付添人」の存在は不可欠です。

 ところが、成人の刑事裁判における「弁護人」の選任率は約98%であるのに対し、少年鑑別所で身体拘束を受けた少年に対する「付添人」の選任率は約40%にとどまっています。
 このような状況が生じる原因は、国選付添人制度の対象が殺人や強盗などの重大事件に限定され、しかも、家庭裁判所が必要と認めた場合に裁量で付すことができる制度にとどまっているからです。
 また、被疑者段階での国選弁護制度は、重大事件だけではなく、窃盗や傷害事件なども対象となるため、少年についても、捜査段階では国選弁護人が選任されたにもかかわらず、少年鑑別所に送致され、少年審判手続きになるや、国選付添人が選任されないという事態が生じます。

 日本弁護士連合会では、以前から、身体拘束を受けた少年が法的援助を受ける権利を保障する観点から、時限的な措置として、全会員から特別会費を徴収して少年・刑事財政基金を設置し、国選付添人制度の対象とならない事件について、弁護士費用を援助する少年保護事件付添援助制度を実施してきました。
 しかしながら、捜査から審判に至る一連の手続きにおいて、少年に対し法的援助を保障することは、本来、国の責務です。心身ともに未成熟な少年に対する国の法的援助が成人に対するものよりも不十分である現状は、一刻も早く改善されなければなりません。

 よって、当会は、政府に対し、国選付添人制度の対象事件を少年鑑別所での身体拘束を受けたすべての少年事件に拡大するよう、早急に少年法を改正することを求めます。


2010年5月14日
三重弁護士会
会長 出口 崇