消費者庁長官・消費者委員会委員長の人選に関する声明

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2009年08月24日

消費者庁長官・消費者委員会委員長の人選に関する声明

 本年5月29日消費者庁関連3法(「消費者庁及び消費者委員会設置法」,「消費者庁及び消費者委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律」及び「消費者安全法」)が成立し,いよいよ我が国で初めての消費者の権利,利益の擁護,増進に寄与すべき責務を担った新たな行政官庁が設置されることになった。産業の保護,育成を第一義にした従来の行政から消費者,生活者の視点をもった行政への転換は画期的であり,当会としても大きな期待をもって新たな消費者行政の展開に注目しているところである。

 ところで,消費庁の設置に向けて急ピッチで準備作業が進められているなか,政府筋が消費者庁初代長官と、消費者委員会委員長の人事の調整に入ったとの報道がなされている。

 新設される消費者庁は,従来の縦割り行政の限界を超えた役割を担っており,消費者行政の司令塔として各省庁に対し勧告する権限を有している。従ってそれを統括する長官も省庁間の利害調整タイプではなく,消費者行政を強力に推進できる力量を備えた人物が要求されるところであり,消費者の権利擁護の観点から、他の省庁に対しても毅然とした態度で臨むことが出来る人物が選任されることを求める。

 消費者委員会にあっては,消費者庁以上に独立性が要求される消費者行政全般の監視役たる第三者機関であり,その委員長は消費者問題の専門性,経験が要求されるポストである。消費者委員会委員長には、消費者問題に専門的,先進的に取り組み,かつ強い指導性を発揮してきた人物が、政府等の主導ではなく、消費者庁及び消費者委員会設置法12条に基づき、消費者委員の自由な判断により互選されることを求める。

 以上,消費者庁長官及び消費者委員会委員長は,消費者目線に立った高い専門性と強い指導力を発揮できる適格者をもって選定されるよう求める。

よって,上記のとおり声明する。


2009年8月24日
三重弁護士会
会長 森川 仁