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2017年09月14日
地方消費者行政の一層の強化を求める会長声明
当会は,これまでに地方公共団体との連携や,地方消費生活センターなどへの定期的な相談員の派遣などにより,消費者被害に対する対応,救済を行ってきた。しかし,個々の救済の事案を救済するだけでは,消費者被害を抜本的に解決することが出来ず,社会不安を払拭することは出来ない。本当の意味で消費者の権利を保護していくためにも,地方消費者行政の体制整備の一層の推進は不可欠である。他方で,三重県及び,県内29市町における消費者行政に対する施策の優先順位は高くなく消費者行政に割り振られる予算等に限度があることから,各地方公共団体において,独自に,消費者行政を推進することは著しく困難であるのが現状であることから,国からの地方における消費者行政への財政的支援が強く求められるところである。
そこで,当会は,消費者行政の一層の強化を推進するために,国に対し,以下の施策をとるよう強く求める。
1 地方消費者行政推進交付金の継続
現在,地方消費者行政の財政基盤は,地方消費者行政推進交付金等の国の支援により支えられている。しかし,地方消費者行政推進交付金の対象は,平成29年度までの新規事業に限定されていて継続性が確保されていない。三重県内の地方公共団体における政策判断が必ずしも消費者行政重視に転換しきれていないことを踏まえると,財政基盤の脆弱化は地方消費者行政の後退を招くことになりかねない。
地方消費者行政の財政基盤を引き続き確保し,充実していくためには,地方消費者行政推進交付金の対象事業を平成30年度以降の新規事業も適用対象に含めるよう同交付金の実施要領を改めることが必要である。
2 国による消費者行政費用の恒久的な財政負担
国は,地方公共団体が実施する消費者行政機能のうち,消費生活相談情報のPIO-NET登録,重大事故情報の通知,法令違反業者への行政処分,適格消費者団体の差止関係業務など,国と地方公共団体相互に利害関係がある事務であり,消費者被害防止のために全国的な水準を向上させる必要性が大きい事務に関する予算の相当部分について,地方財政法第10条を改正し,国が恒久的に負担することとすべきである。
3 地方消費者行政職員の増員と資質の向上
地方消費者行政における法執行,啓発・地域連携等の企画立案,他部署・他機関との連絡調整,商品テスト等の事務を担当する職員の配置人数の増加及び専門的資質の向上に向け,国は,実効性ある施策を講ずべきである。
平成29(2017)年9月12日
三重弁護士会
会長 飯 田 聡