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2004年07月28日
司法修習生の給費制堅持を求める会長声明
司法制度改革推進本部法曹養成推進検討会において、司法修習生の給費制廃止と貸与制への移行のとりまとめがなされた。
当会は、平成15年10月27日に司法修習生の給費制度維持を求める会長声明を発表したが、このような状況下あらためて給費制の堅持を求めるものである。
司法修習生の給費制は、司法修習生の生活を保障することにより修習に専念させることを目的とした制度であり、司法修習制度と一体不可分のものである。
給費制を廃止することは修習専念義務を危うくさせるものといわざるを得ない。
法曹は、広く国民の権利を擁護し、法の支配を実現することを使命とするものであり、優れた人権感覚を有し、高い倫理観を持つ者が担い手とならねばならず、そのような人材は国民一般から幅広く求められることが肝要である。給費制を廃止することは、一部の経済的余裕のある階層の者でなければ法曹の職に就けないという事態を招く虞が大きく、容認しがたいものである。さらに、法科大学院制度がスタートした現在の時点では、法曹となるための経済的負担は増大しており、この時期に給費制を廃止することは法曹出身者が富裕な階層のみに限定してしまう危険性を含むものといえよう。
給費制は、法曹、とりわけ弁護士の公益性を制度的に担保していたものであり、その廃止が法曹のあり方に重大な影響を与えることは明らかである。
貸与制の導入によって、上記弊害が是正されるものとは言いがたく、かえって多くの新人法曹が第一歩を踏み出したときから多額の債務を負担するという事態を招き公益活動に対する取り組みを困難ならしめるなど、自由闊達な法曹としての活動を萎縮させる虞が多きいものである。
よって、当会は、再度、司法修習生の給費制の堅持を強く求める。
2004年7月28日
三重弁護士会
会長 北岡 雅之