ハンセン病の患者であった人々の人権を回復するために(要望)

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2002年08月03日

ハンセン病の患者であった人々の人権を回復するために(要望)

三重県知事 北 川 正 恭 殿
三重弁護士会
(平成13年度)会長 渡 辺 伸 二

民事法律扶助事業に対する抜本的財政措置を求める緊急決議

 熊本地方裁判所の判決により、らい予防法によるハンセン病の患者であった人々の強制隔離が違法であり、重大な人権侵害であったことが認定され、国も控訴せずに同判決を受け入れ、国会も謝罪決議の上、補償法を制定しました。

 しかし、同法は補償としての一時金支給を定めただけであり、元患者の全面的な被害回復・人間の尊厳を取り戻すための施策は、今後の課題として残されたままです。強制隔離による被害の回復は、原状の回復すなわち元患者がかつて暮らしていた故郷に戻り、社会の一員として当たり前の生活を送れるようにするということにあります。長期にわたる強制隔離による家族・社会基盤の崩壊と、根強く残る偏見と差別、高齢と経済能力の欠如という現実があり、元患者の社会復帰・帰郷は容易なこではありません。

 本県出身の多数のハンセン病元患者の方々もまた、故郷や家族と引き裂かれ、長期間療養所において強制隔離された生活を余儀なくされてきました。

 当会は、三重県が、かつての無らい県運動と強制隔離・強制収容についてその真相を究明するとともに、社会復帰・帰郷を希望される本県出身の元患者の方々の願いに応えるための諸施策を講ずることは喫緊の課題であると考えます。

 よって、当会は貴殿に対し、以下のとおり要望致します。




1、無らい県運動を展開し、強制隔離・強制収容を
  実施したことの真相を究明すること。
  元患者の名誉回復措置を講ずること。
2、ハンセン病に対する差別・偏見を除去するため、
  正しい知識を周知徹底させる広報活動を行うこと。
3、入所者が故郷に 帰れるよう、
  ①全般的な生活支援と充分な医療の保障
  ②住居の確保・親族関係の調整等の受け入れ体制の整備を行うこと。
4、療養所内の遺骨を故郷の墓地に帰し、手厚く弔うための取り組みを行うこと。