法律扶助に関する三重弁護士会総会緊急決議

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2002年05月18日

法律扶助に関する三重弁護士会総会緊急決議

平成14年5月18日開催された三重弁護士会総会において下記決議がなされた。

民事法律扶助事業に対する抜本的財政措置を求める緊急決議

 民事法律扶助法は、民事法律扶助事業の統一的な運営体制の整備及び全国的に均質な遂行のために必要な措置を講ずることを国の責務とし、民事法律扶助事業の全国的に均質な遂行の実現に努めることを指定法人の義務としている。 民事法律扶助事業の実施の指定を受けている財団法人法律扶助協会は、国に対し、平成13年度の民事法律扶助事業の補助金として、59億8000万円の要望をした。これに対する国の決定額は、25億7500万円であり、その後に認められた補正額2億8000万円を加えても約28億5500万円にとどまった。

 一方、同年度に扱った財団法人法律扶助協会の事業のうち、代理援助の件数だけでも2万9855件に及んでいる。

 同協会は、財源不足からやむなく代理援助決定件数に支部別の上限数を設定した。とりわけ、同協会三重県支部においては、代理援助決定の上限数を年間148件と設定され、平成14年1月中に代理援助決定件数が当該上限数に達したため、同年2月・3月の代理援助決定が全く実施できず、平成14年度分の審査に回付するという異常事態に陥った。同支部と同様の対応を余儀なくされた支部は全国で他に33支部存する。

 そこで、財団法人法律扶助協会は法務省に対し、平成14年度の民事法律扶助事業の補助金として66億円余の予算要望を行い、法務省は36億円の概算要求をまとめたものの、内閣府及び財務省の査定を受け、平成14年度の予算は要望額の半額以下である、約30億円しか認められなかった。

 しかしながら、30億円の国庫補助金では償還金等を加算しても平成13年度の事件数にしか対応できず、代理援助の件数が4万件に近づくことが予測されている平成14年度は、前年度と同様、年度途中で財源不足のために、再び同協会の各支部で援助申込受付を中止せざるを得ない深刻な事態となることが予想され、このままでは民事法律扶助制度は破綻し、経済的弱者の司法へのアクセスが閉ざされることとなる。

 民事法律扶助制度は、憲法第32条の「裁判を受ける権利」を実質的に保障する制度であり、平成13年6月12日に発表された司法制度改革審議会の「意見書」では、「民事法律扶助制度については、対象事件・対象者の範囲、利用者負担の在り方、運営主体の在り方等について、更に総合的・体系的な検討を加えた上で、一層充実すべきである」とし、民事法律扶助の拡充を求めている。

 当弁護士会は国に対し、国民の裁判を受ける権利を保障し、利用しやすい司法を実現するために、民事法律扶助事業に対する補正予算を計上するなど直ちに必要な財政措置を講ずることを強く求めるものである。
以上のとおり、決議する。


平成14年5月18日

三重弁護士会