「共通番号法」法案成立に対する会長声明

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2013年06月28日

「共通番号法」法案成立に対する会長声明

 2013年(平成25年)5月24日、「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用に関する法律」案(いわゆる「共通番号法」案)が参議院本会議で可決され、成立した。

 本法案は、昨年の11月の衆議院解散により廃案となった同名の法案を一部修正したものである。

 本法案は、国民と外国人住民全員に付けた個人番号(マイナンバー)をマスターキーとして、あらゆる個人情報を名寄せできるようにするものである。政府は、マイナンバーの利用を、税と社会保障に限定せず、民間でも利用する予定であるから、プライバシー権が侵害される可能性が旧法案よりより高くなっている。
 また、マイナンバーが記載された個人番号カードが民間でも利用されるようになると、アメリカで被害が続出している成りすましによる不正利用の可能性が飛躍的に高まる。
 政府は、国民にマイナンバーを付ければ、行政事務が簡素化するというが、現時点でも、どの程度、行政事務が簡素化できるのか具体的に説明することができない。
 民主党政府では、マイナンバーを活用することにより、正確な所得の把握をして、「給付付き税額控除」制度を創設して、真に手をさしのべるべき低所得者に対して現金給付をするとの理由で導入を図ったが、自民党政府は、「給付付き税額控除」の制度よりも「軽減税率」の制度により低所得者対策を講じると述べており、マイナンバー導入の理由が不明確となっている。

 政府は、このシステム構築費用として2~3000億円、毎年の運営費用が350億円程度かかると述べているが、費用対効果についての試算はされておらず、国家財政が逼迫する中、このようなシステム構築の必要性について具体的に説明できない。

 以上のとおり、本法案には、日本社会の今後のあり方や財政に重大な影響を与える問題、プライバシー権の侵害、成りすましによる不正利用の可能性等、多くのリスクがあるにもかかわらず、十分な審議に基づく抜本的な見直しを行うことなく、国会が拙速に本法案を成立させたことは極めて問題であり、強く抗議する。

 共通番号法は、2016(平成28)年1月から施行が予定され、法施行後3年を目途に個人番号の利用範囲の拡大について検討を加えるとされているが、当会は、重大な問題を抱える本法の施行の停止ないしは廃止法の制定を求める。


2013年6月28日
三重弁護士会
会長 向山 富雄