改めて、司法試験合格者数を早急に1,000人以下に
減少させることを求める会長声明

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2016年09月12日

改めて、司法試験合格者数を早急に1,000人以下に
減少させることを求める会長声明

 法務省は、平成28年度司法試験合格者数を1,583人であると発表した。当会は、これまで、司法試験合格者数を1,000人以下に減少させることを求めてきたが、本年度の司法試験合格者数はこれを大幅に上回るだけでなく、政府の法曹養成制度改革推進会議が平成27年6月30日に取りまとめた司法試験合格者数の想定数1,500人をも上回っており、誠に遺憾である。

 当会は、平成26年5月23日の定期総会において、弁護士急増の結果、就職難などにより、法曹としての知見を研鑽する機会が不十分となるとともに、法曹志願者の減少により、有為な人材を確保することができなくなることから、法曹の質を著しく低下させ、ひいては、国民の権利・自由を実効的に保障することができなくなる危険性を指摘し、早急に司法試験合格者数を年間1,000人以下とすることを求める決議を行った。

 ところが、その後も、平成27年度の司法試験合格者数は1,850名と前年度よりかえって40名増加し、今回の合格者数はこれに比べ267名減ったものの、合格率はほぼ横ばいであることから、司法試験受験者数が大幅に減った結果、合格者数が必然的に減少したに過ぎず、政策的に減少させたとは認められない。他方で、この間、平成28年度の法科大学院の入学者数は1,857人と前年度に比べ約15.6%減少し、また、平成28年度の司法試験受験者数も6,899人と前年度に比べ約14%も減少し、法曹志願者の減少傾向に歯止めはかからず、むしろ、より一層悪化している。

 このままでは、法曹養成制度が完全に破壊され、法曹の質が著しく低下し、国民の権利・自由を実効的に保障することができなくなる。

 ところで、今後、司法試験合格者数を政府が想定する1,500人に減少させた場合でも、弁護士人口は現在の約38,000人から約62,000人程度まで増加を続け、1,000人に減少させた場合でも、約47,000人に達すると試算されていることから、現在の法曹人口の急増に伴う弊害を是正するためには、司法試験合格者数を少なくとも1,000人以下に減少させる必要がある。

 よって、当会は、改めて、政府に対し、国民の権利・自由を守るために、年間司法試験合格者数を次年度はまず政府の想定する1,500人に減少させた上で、さらに早急に1,000人以下に減少させることを強く求める。


2016年9月12日
三重弁護士会
会長 内田 典夫